映画

『ジュリーは沈黙したままで』鮮烈なアザーポスター5点

ベルギーの新鋭、レオナルド・ヴァン・デイルの長編デビューとなる『ジュリーは沈黙したままで』が、10月3日(金)より公開される。このたび、アザーポスター5点が解禁となった。

ベルギーのテニスクラブに所属する15歳のジュリー(テッサ・ヴァン・デン・ブルック)は、その実力によって奨学金を獲得し、いくつもの試合に勝利してきた、将来を有望視されているプレーヤーだ。しかし、ある日、信頼していた担当コーチのジェレミー(ローラン・カロン)が指導停止となりクラブから姿を消すと、彼の教え子であるアリーヌが不可解な状況下で自ら命を絶った事件を巡って不穏な噂が立ちはじめる。ベルギー・テニス協会の選抜入りテストを間近に控えるなか、クラブに所属する全選手を対象にジェレミーについてのヒアリングが行われ、彼と最も近しい関係だったジュリーにとっては大きな負担がのしかかる。テニスに支障を来さないよう日々のルーティンを崩さず、熱心にトレーニングに打ち込み続けるジュリーだったが、なぜかジェレミーに関する調査には沈黙を続け……。

監督は、カンヌ国際映画祭コンペティション部門にも出品、ケガを隠して競技を続ける12歳の体操選手を描いた短編『STEPHANIE』(20)で注目を集めた、ベルギーの新星ヴァン・デイル。本作でも監督はスポーツ界で子どもが「小さな大人」として扱われる現実に強い問題意識を投げかける。そんな本作の共同プロデューサーとして名を連ねるのは、社会問題に光を当て続けてきたベルギーの巨匠ダルデンヌ兄弟。また、この物語に共感を示したテニス界のスター・大坂なおみが、エグゼクティブ・プロデューサーとして公式に後押しすることも話題に。過去、大坂がメンタルヘルスの重要性を訴えたことに大きく感銘を受けたヴァン・テイル監督は、「彼女が声を上げてくれたことで、世界中の少女たちに“NOと言う選択肢”が開かれた。本当に価値あることです」と語っている。

35mmと65mmフィルムで捉えられた美しい映像は、『ダム・マネー ウォール街を狙え!』(23)、『クルエラ』(21)などで知られるニコラス・カラカトサニスの撮影によるもの。固定カメラによる静謐なフレーミングで、しばしば自然光のコントラストの中に人物を沈ませ、まさにダルデンヌ兄弟を思わせる自然主義的な手法で一人の少女の感情を浮かび上がらせていく。そして、緊張感のあるボーカルスコアは、アメリカの現代クラシック作曲家キャロライン・ショウ。ヴァン・ディルとベカールによる脚本は、思春期の揺れ動く心理に寄り添いながら、観る者にジュリーの沈黙の行方をそっと委ねている。

今回公開されたアザーポスターは、テニスのハードなレッスン風景と、ジュリーのごくありふれた日常の一コマが、フィルムカメラで鮮烈に刻まれたカットとして交互に映し出され、彼女の記憶と意思が織り重なり未来へとつながっていく——その物語を予感させる、印象的なビジュアルデザインとなっている。

©2024, DE WERELDVREDE

  『ジュリーは沈黙したままで』(英題:Julie Keeps Quiet)

監督:レオナルド・ヴァン・デイル
出演:テッサ・ヴァン・デン・ブルック、クレール・ボドソン、ピエール・ジェルヴェー、ローラン・カロン ほか
2024/ベルギー・スウェーデン合作/オランダ語・フランス語・ドイツ語/100分/カラー/5.1ch/1.85:1/原題:Julie zwijgt/日本語字幕:橋本裕充

日本公開:2025年10月3日(金)新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋ほか
配給:オデッサ・エンタテインメント
©2024, DE WERELDVREDE

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