『CLOSE/クロース』のルーカス・ドンに続くベルギーの新鋭、レオナルド・ヴァン・デイル監督の長編デビュー作 映画『ジュリーは沈黙したままで』。この度、俳優の伊東蒼が映画予告のナレーションに初挑戦した、本作の本予告映像、本ポスタービジュアルが公開された。
才能あふれる15歳のテニスプレーヤー、ジュリー(テッサ・ヴァン・デン・ブルック)。この度公開された映像は、彼女のラケットが鋭くボールを打ちつける音とともに幕を開ける。続いて映し出されるのは、有望視されていた選手の訃報、そして信頼していたコーチ交代の知らせ。次々と降りかかる予期せぬ出来事に、ジュリーたち選手の不安は募っていくが、大人たちは「何も変わらない」と言い放ち、思惑通りに物事を進めていく。世間から隔絶された環境の中、“大人”として扱われる世界で孤独な選択を迫られるジュリーだが‥‥。
監督は、カンヌ国際映画祭コンペティション部門にも出品、ケガを隠して競技を続ける12歳の体操選手を描いた短編『STEPHANIE』で注目を集めた、ベルギーの新星 レオナルド・ヴァン・デイル。本作でも監督はスポーツ界で子どもが「小さな大人」として扱われる現実に強い問題意識を投げかける。
共同プロデューサーとして名を連ねるのは、社会問題に光を当て続けてきたベルギーの巨匠ダルデンヌ兄弟。また、この物語に共感を示したテニス界のスター・大坂なおみが、エグゼクティブ・プロデューサーと名を連ねる。過去、大坂がメンタルヘルスの重要性を訴えたことに大きく感銘を受けたヴァン・テイル監督は、「彼女が声を上げてくれたことで、世界中の少女たちに“NOと言う選択肢”が開かれた。本当に価値あることです」と語っている。
主人公となる、15歳の天才ジュニア選手・ジュリーを演じたのは、実生活でも若きテニス選手であるテッサ・ヴァン・デン・ブルック。また、登場するティーンエイジャーたちは全員ノンプロの俳優。実際の所属クラブの仲間たちを他の子役に起用することで、監督は幼い主演俳優が安心できる空間づくりを徹底した。
▼伊東蒼(俳優) コメント全文
今の私が映画をみて感じた素直な気持ちも、年齢や立場が変わっていけば、きっと変わっていくと思います。それでも、立場や年齢が変わっても誠実に相手と向き合いたい、と思わせてもらった作品です。実際にテニスプレイヤーでもあるテッサ・ヴァン・デン・ブルックさんのプレイシーンは観客をスクリーンに惹きつけ、未成熟な若き心の機微をこぼさない表情や仕草は、今この瞬間を逃してしまえば、2度と出会うことはできないような切なさで満ちていました。
映画『ジュリーは沈黙したままで』
ベルギーのテニスクラブに所属する15歳のジュリーは、その実力によって奨学金を獲得し、いくつもの試合に勝利してきた、将来を有望視されているプレーヤー。しかし、ある日、信頼していた担当コーチのジェレミーが指導停止となりクラブから姿を消すと、彼の教え子であるアリーヌが不可解な状況下で自ら命を絶った事件を巡って不穏な噂が立ちはじめる。ベルギー・テニス協会の選抜入りテストを間近に控えるなか、クラブに所属する全選手を対象にジェレミーについてのヒアリングが行われ、彼と最も近しい関係だったジュリーにとっては大きな負担がのしかかる。テニスに支障を来さないよう日々のルーティンを崩さず、熱心にトレーニングに打ち込み続けるジュリーだったが、なぜかジェレミーに関する調査には沈黙を続け‥‥。

『ジュリーは沈黙したままで』(英題:Julie Keeps Quiet)
監督:レオナルド・ヴァン・デイル
出演:テッサ・ヴァン・デン・ブルック、クレール・ボドソン、ピエール・ジェルヴェー、ローラン・カロン ほか
2024/ベルギー・スウェーデン合作/オランダ語・フランス語・ドイツ語/100分/カラー/5.1ch/1.85:1/原題:Julie zwijgt/日本語字幕:橋本裕充
日本公開:2025年10月3日(金)新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋ほか
配給:オデッサ・エンタテインメント
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