東京国際ろう芸術祭で上映、舞台挨拶&ティーチイン実施
実施日:11月9日(日)
場 所:座・高円寺
登壇者:長澤樹 / 毛塚和義 / 福田凰希 /ユードゥルム・フラット / ムラット・チチェック /那須英彰 / 今井彰人 / ウォーレン・トロフィメンコフ / 田中ライガ、河合健監督(敬称略)
河合健監督のオリジナル最新作『みんな、おしゃべり!』、が11月29日(土)よりユーロスペース、 シネマ・チュプキ・タバタほか全国順次公開となります。
本作は、先日開催された第38回東京国際映画祭のアジアの未来部門での上映に続き、「手話のまち東京国際ろう芸術祭」でも上映が行われ、主演を務める長澤樹をはじめ、キャストらと河合健監督が登壇し、舞台挨拶を行いました。
「手話のまち 東京国際ろう芸術祭」(文化庁、一般社団法人日本ろう芸術協会主催)が、東京2025デフリンピック直前の11月6日より4日間、東京都杉並区高円寺を中心に開催された。前身の映画祭から、映画、演劇、パフォーマンスなど48プログラムに拡充。街全体を「手話のまち」として、ろう文化・芸術に触れる機会を提供し、ろう者と聴者が隔たりなく自然に混ざり合う共生空間の創出が狙いの「ろう芸術祭」は、先日、秋篠宮妃紀子さまや次女の佳子さまが来場され、話題となった。
映画「みんな、おしゃべり!」は11月9日に招待作品として上映され、満席の場内から絶えず笑い声やリアクションが起こるなど大盛況。上映後は河合健監督や主演の長澤樹をはじめ、多くの出演者が登壇し場を盛り上げた。
舞台挨拶冒頭、河合健監督らが登壇するも、主人公・夏海の父親・和彦を演じた毛塚和義の姿が見当たらず、登壇者たちが騒ぎ始めると、場内後方から劇中の衣装そのままで毛塚が登場。観客たちは両手を挙げてひらひらと振る動作=手話の拍手で迎えた。
ろう者の俳優として多方面で活躍する那須英彰、今井彰人をはじめ、出演者の多くはオーディションで選ばれた。演技初挑戦の毛塚や子どもキャストたちは、那須の芝居に笑いを堪えるのが大変だったと振り返ると、河合監督が撮影現場はカオスのようだったと明かす。ろう者、聴者、クルド語や日本語以外の言語しか話せないキャストなど様々な人々が集まっていた為、意思疎通に苦労したという。また、ヒワ役を演じたユードゥルム・フラットは、日本語のイントネーションにも苦労したそうで、1日で撮り切れなかったシーンがあったと話し、河合監督は「よく見ると天候が少しちがうんです(同じシーンを別日に分けて撮影したため)」と打ち明け、会場は驚きに包まれた。


ティーチインも実施され、興奮冷めやらぬ観客たちからは、「笑いをこらえるのが大変なほど面白かった」、「これまでろう者をテーマにした作品はどこか不自然さを感じることがあったが、この映画は本当に自然で“ありのまま”が描かれている」、「聴者とろう者の文化がうまく映像化されている」など称賛が相次いだ。
河合監督は、「今日のこの場のように、観客席をろう者と聴者で混ぜこぜにしたいと考えています。11月29日から映画館での公開が始まりますので、ぜひ皆さんのまわりの方々にもお声がけいただけたら!今まで、ろう者と出会ったことのない聴者の方にも、隣の席で、“あ、ここで反応するんだ”とか新しい発見をしてもらえたらいいな」と力を込め、「ろう者、聴者各々から観た感想をぜひSNS等で書いていただくことで、そういう風に感じたのか、全然違うんだなとか、有意義なSNSの使い方をこの作品を通してできたらとも思っています。今日観ていただいた皆さんはお客さまというより“仲間”として、どうかご協力いただけますと幸いです」と自身の想いを託した。
物語・・・
ろう者の父と弟がいる古賀家と、その街に新しく越してきたクルド人一家が、些細なすれ違いから対立する。二つの家族の通訳として繰り出されたのは、古賀家で唯一の聴者である娘の夏海と、クルド人一家で唯一日本語が話せるヒワだった。二人は次第に惹かれ合っていくが、両者の対立は深まるばかり。そんなある日、夏海の弟・駿が描いた謎の文字をきっかけに、小さな対立は街を巻き込む問題へと発展、想像を超えた結末へと向かっていくー。
出演:長澤樹、毛塚和義、福田凰希、ユードゥルム・フラット、Murat Çiçek、那須英彰、
今井彰人、板橋駿谷、小野花梨
監督:河合健
脚本:河合健、乙黒恭平、竹浪春花
プロデューサー:小澤秀平
ろうドラマトゥルク・演技コーチング:牧原依里 /手話指導:江副悟史 /ろう俳優コーディネート:廣川麻子/ クルド表現監修:Vakkas Colak
企画・配給・製作プロダクション:GUM株式会社
配給協力:Mou Pro.
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(日本映画製作支援事業)
独立行政法人日本芸術文化振興会
©2025映画『みんな、 おしゃべり!』製作委員会





