『たしかにあった幻』完成披露上映会
完成披露上映会
日時:1月22日(木)
場所:テアトル新宿
登壇:尾野真千子、北村一輝、永瀬正敏、監督の河瀨直美氏
俳優の尾野真千子、北村一輝、永瀬正敏、監督の河瀨直美氏が22日、東京・テアトル新宿にて行われた映画『たしかにあった幻』完成披露上映会に登壇した。
「たしかにあった幻」は、小児臓器移植を行う医療施設を舞台とした作品である。フランスから来日したレシピエント移植コーディネーターのコリーが、脳死ドナーの家族や臓器提供を待つ子どもたち、その家族と関わる中で、命について向き合っていく様子が描かれる。また、突然失踪した恋人・迅の行方を追う姿を通して、愛や喪失、希望といったテーマも重ねて表現されている。
コリー役はルクセンブルク出身の俳優ビッキー・クリープス、迅役は寛一郎が務めた。尾野真千子は、弁当店を営みながら移植を待つ子どもや家族に弁当を届け、最愛の息子を亡くした後も一周忌を迎えてなお複雑な思いを抱える女性・めぐみを演じている。元捜査一課の刑事で、めぐみの弁当店を手伝う亮二役は北村一輝が演じた。
尾野は、河瀬直美監督からの問いかけに対し、「そうなのよね。(2021年に)結婚したり」と応じながら、出演オファー当時のやり取りを振り返った。河瀬監督から「主演以外の役も演じるのか」と連絡を受けたことがきっかけとなり、「やります」と返答して出演を決めたという。
また、河瀬監督が撮影前にロケ地で約2週間、俳優陣に生活を共にさせるなど、役と向き合うために行う演出手法「役積み」についても言及し、「何を勉強すればいいのか、どうすればいいのか分からず、まとまらなかった」と、準備期間中の心境を語った。
その上で、「普通の役作りでは通用しない」と感じたことから、「身ひとつで現場に行けばいい」と考え、特別な準備にとらわれず撮影に臨んだと明かした。これに対し河瀬監督は、尾野の演技について「100点を超えている」と評価し、「河瀬組の強さが一番出ている」と語った。
イベントの後半に「人生において大切にしているもの」をテーマにしたフリップトークで、河瀬監督は、「フランスロケ」と記したコメントにエッフェル塔のイラストを添えて紹介した。完成披露当日には、本作に「3種類のバージョンがある」ことが明かされ、この日に上映されたのは「最新の日本バージョン」だと説明された。
作品のテーマに「“あった”というお題」が含まれていることに触れ、河瀬監督は日本バージョンについて「つまり、日本バージョンにはフランスロケが…ということです」と、含みを持たせた表現で語った。フランスで撮影された映像を大胆に編集したことが示されると、登壇していた永瀬廉は「マジで?」と反応し、尾野も同様に驚いた様子を見せた。
改めて日本バージョンではフランスロケの映像を見ることができないのかと問われると、河瀬監督は「できない、かもしれない。ちょっとだけあります。感じていただければ」と説明し、全編ではないものの、ほぼ編集されていることを明かした。この発言により、会場には驚きの声が上がっていた。
尾野は「台本」と記し、「撮影が終わった台本をすべて取ってある」と明かした。あわせて、「日々のスケジュールも残しているほか、地方撮影の際に用意された弁当の資料などもファイルにまとめている」と説明し、その結果「保管場所がいっぱいになっている」と語った。
また、俳優として活動を始めた当初を振り返り、「作品に少しでも関わることがうれしく、記録を残しておきたいと思っていた」と述べ、現在も多くの資料を大切に保管している理由を明かした。
そして、北村は「津原さんの言葉」と記した。これに対し、河瀬監督から「一輝君が書いた中で一番分からない」と指摘されると、北村は俳優として注目を集める以前から支えてくれた恩人との思い出について語った。
北村は、仕事が少なかった時期を振り返り、「いつも励ましてくれた存在だった」と述べるとともに、「志を大きく持て」といった言葉をかけられていたことを明かした。津原さんはすでに故人であるが、その言葉について「今も心に残っている」と語り、「形として残っているものはないが、自分の中に刻まれている」と心情を表現した。この発言に、会場からは温かい拍手が送られた。
永瀬は「想い」と記し、「先に逝った人たちを忘れちゃうんだろうと思うんだけど、全然、忘れないなと、想いは消えないなと」と語った。その上で、「今、生きていたら、おっさんだった弟を15、16で亡くして…心臓の病気だったので」と自身の経験に触れた。劇中では、突然脳死状態となった息子を通じて、父親の悲しみを表現したが、「その演技には、自身の体験も影響している」と明かした。
永瀬はさらに、「(ドナーから心臓を)もらうことがあれば、おっさんになって、そこに座っていたかもしれないけど、ずっと一緒にいる気がする」と述べた。また、「デビュー作の監督も…亡くなって終わるかと思ったら全然」と語り、過去に関わった人々とのつながりが今も自身の中で生き続けていることを示した。


映画『たしかにあった幻』は、2026年2月6日より全国公開。
ヴィッキー・クリープス 寛一郎
尾野真千子 北村一輝 永瀬正敏
中野翠咲 中村旺士郎 土屋陽翔 吉年羽響
山村憲之介 亀田佳明 光祈 林泰文 中川龍太郎
岡本玲 松尾翠 早織
小島聖 平原テツ 利重剛 中嶋朋子
監督・脚本・編集:河瀨直美
製作: CINÉFRANCE STUDIOS 組画 プロデューサー: DAVID GAUQUIÉ et JULIEN DERIS 河瀨直美
音楽:中野公揮 / 撮影:鈴木雅也 百々新 / 照明:太田康裕 / 録音:Roman Dymny 森英司 / 美術:塩川節子 小林楽子 橋本泰至 / 編集:Tina Baz / サウンドデザイナー:Roman Dymny Arnaud ROLLAND / サウンドミキサー: Emmanuel DE BOISSIEU / スタイリスト:望月恵 / ヘアメイク:寺沢ルミ / スチール:山内悠 / 監督補:北條美穂 / 助監督:甲斐聖太郎
制作プロデューサー:齋藤寛朗 / アソシエイトプロデューサー:平川晴基
制作プロダクション: CINÉFRANCE STUDIOS 組画 / 制作協力:カズモ
日本宣伝・配給: ハピネットファントム・スタジオ /フランス配給:advitam / インターナショナルセールス: CINÉFRANCE STUDIOS
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