『第50回報知映画賞』で吉沢亮が主演男優賞を受賞し、15日に都内で行われた表彰式に登壇した。

共演した田中泯とガッチリと握手し、笑顔で抱擁を交わした。吉沢は「泯さんは、とんでもない存在感がある役者さん。生きてきた人生でしか得られないものだけど、自分も“何か”が出せる役者になりたい」と自らに言い聞かせた。

任侠(きょう)の一門に生まれながらも、才能を買われ、単身歌舞伎の世界に飛び込む立花喜久雄を演じた。吉沢は「ただただ、憧れの李監督の作品というだけで飛び込んだ世界。関わった全ての人のおかげで、その瞬間だけ歌舞伎役者になれた気がした。喜久雄として生きることができました」とコメント

09年に所属事務所のオーディションで芸能界入り。そこから16年、自身が30歳になって初めて臨んだ作品だった。歌舞伎の稽古には1年半を要した。

「一つの役に費やすのはぜいたくな時間」だが、稽古を重ねれば重ねるほど感じたのは無力感。吉沢は「何百年と続く日本の伝統文化。歌舞伎役者の方は子どもの頃から舞台に立って、何十年と芸と向き合いながら積み上げていく。やればやるほど、習得するのは不可能と気付く毎日…。それでもやるしかない」意地だけが支えた。

歌舞伎名門の御曹司・大垣俊介役の横浜流星とは、稽古から切磋琢磨(せっさたくま)。役をやり遂げる上で不可欠な存在だった。「簡単な言葉になってしまうけど、彼はストイック。ストイックでいてくれたから、しがみついてやることができた。隣で一生懸命に歌舞伎役者になろうとしている姿を見ていたから頑張れた。彼が“俊ぼん”で良かったです」

■受賞一覧

作品賞・邦画部門:『国宝』
作品賞・海外部門:『エミリア・ペレス』
アニメ作品賞 :『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』

主演男優賞:吉沢亮(『国宝』の演技に対して)
主演女優賞:北川景子(『ナイトフラワー』の演技に対して)
助演男優賞: 佐藤二朗(『爆弾』の演技に対して)
助演女優賞:森田望智(『ナイトフラワー』の演技に対して)
監督賞: 李相日監督(『国宝』の演出に対して)

新人賞:松谷鷹也(『栄光のバックホーム』の演技に対して)

BS10プレミアム賞:『国宝』