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「第34回日本映画批評家大賞授賞式」助演女優賞 忍足亜希子 助演男優賞 森優作 綾野剛が受賞

呉美保監督による映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』は、耳の聞こえない両親のもとに生まれた青年が、コーダ(CODA: Children of Deaf Adults)として生きる中で感じる葛藤や、家族との深い絆を描いた作品である。幼少期から手話を使い、母の“通訳”として成長してきた主人公・五十嵐大を吉沢亮が演じ、その母・明子役には忍足亜希子が出演した。

本作は、第34回日本映画批評家大賞にて作品賞、主演男優賞、助演女優賞、編集賞(浦岡敬一賞)という4部門で受賞を果たした。

忍足は、20代から50代までの長い年月にわたる母親役を演じたことについて、「“聴こえる”息子と“聴こえない”母という親子関係を通して、母の愛情や親子の成長を描くことができた」と語り、受賞への喜びをにじませた。また、手話で演技を交わした吉沢については、「コーダ特有の手話表現を見事に体現されていた」と述べ、約2カ月という短期間で手話を習得した彼の努力と表現力を高く評価した。

第34回日本映画批評家大賞において、助演男優賞は2名に贈られた。『ミッシング』で主人公の弟を演じた森優作と、『まる』での演技が評価された綾野剛が受賞した。

『ミッシング』では、石原さとみ演じる主人公の弟という役どころを、どこか謎めいた存在感で表現した森。授賞式では、「自分が演じた人物に対して、こうして光が当てられることが一つの希望だと感じています」と、作品と役に込めた思いを丁寧に語った。

一方、綾野剛は撮影スケジュールの都合により授賞式を欠席。ビデオメッセージを通じて、自身が演じたキャラクターについて「どこかに豊かな未来が待っていてくれたらと願うような“彼”に、このような賞をいただけたことに感謝しています」と、静かに思いを述べた。

■『第33回日本映画批評家大賞』結果
・作品賞:『ぼくが生きてる、ふたつの世界』(呉美保監督)
・監督賞:入江悠監督『あんのこと』
・主演男優賞:吉沢亮『ぼくが生きてる、ふたつの世界』
・主演女優賞:河合優実『あんのこと』
・助演男優賞:綾野剛『まる』、森優作『ミッシング』
・助演女優賞:忍足亜希子『ぼくが生きてる、ふたつの世界』
・ドキュメンタリー賞:『大きな家』(竹林亮監督)
・アニメーション作品賞:『ルックバック』(押山清高監督)
・新人監督賞:山中瑶子監督『ナミビアの砂漠』
・新人男優賞(南俊子賞):齋藤潤『カラオケ行こ!』、本山力『十一人の賊軍』
・新人女優賞(小森和子賞):長澤樹『愛のゆくえ』
・脚本賞:甲斐さやか『徒花 -ADABANA-』
・編集賞(浦岡敬一賞):田端華子『ぼくが生きてる、ふたつの世界』
・松永文庫賞(特別賞):東映剣会
・ゴールデン・グローリー賞(水野晴郎賞):根岸季衣『サユリ』
・ダイヤモンド大賞(淀川長治賞):草笛光子『九十歳。何がめでたい』

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