映画

「最新のダウナーな青春映画!」近藤亮太監督(『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』)、 「自分のアイデンティティを見つけるような映画」大森時生プロデューサー(テレビ東京)、熱狂するファンも続出

公開記念トークショー付き上映
日付:10月5日(日)
場所:kino cinema新宿
登壇:近藤亮太、大森時生

第74回ベルリン国際映画祭パノラマ部門正式出品のA24製作映画『テレビの中に入りたい』(原題:I saw the TV glow)が9月26日(金)より公開中です。

10月5日(日)にkino cinema新宿にて行われた「公開記念トークショー付き上映」では、日本ホラー映画大賞を受賞し長編映画化された『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』の監督である近藤亮太とテレビ東京プロデューサーの大森時生が登壇。
まず本作の感想について、近藤監督は「昔懐かしい80年代90年代作品の雰囲気と、そこに絡む青春模様のような感じのノリなのかなと思っていたら全然違う映画で、もっとよりメランコリックな、一番最初に僕が世代的に思い浮かんだのは『ドニー・ダーコ』という映画でしたけど、青春時代の鬱屈した思いのようなものを映像表現として落としこんでいて、それが今の2025年のモードとして最新のダウナーな青春映画になっている。その表現の新しさと面白さが、かなりすごいなと思いました」と語り、
『テレビの中に入りたい』
『テレビの中に入りたい』大森プロデューサーも「この作品は全体的に、自分のアイデンティティを見つけるみたいな作品。その上で、自分のアイデンティティを何をもって見つけるのか、そもそも見つけることが大切なのかとか、見つけた結果幸せになるのかってことも、すべて曖昧にされているのが新しい。アイデンティティを求める作品というのは、だいたい最終的にアイデンティティを見つけたことによって成長するみたいな物語が一般的にはよくあると思うんですけど、全くそうじゃないっていうのも含めて、それが現代的だなとすごく思いました。やっぱりアイデンティティを見つけようと思っても、見つけようがない時代というか。自分の中でこれがいいかもと思ったことも、SNSとかを見たら自分よりはるかに得意だったり、はるかにそれをアイデンティティにしている人がもう1万人とか見つけられちゃうわけなので、その時代におけるアイデンティティを求める物語としては、すごい妥当な感じがするというか、その部分が僕は一番刺さった部分かもしれないですね」と明かした。

またアメリカでは“サイコロジカルホラー”という言い方をされている本作だが、日本人が想像するいわゆる“ホラー映画”とは異なる印象で違った感覚の作品となるが、大森プロデューサーも「生きていて何かしら自分の中で何かにぶつかったり、精神的な落ち込みの中に入ってそこから戻ってこなかったり、途中で何かアイデンティ的なものを見失って暗くなってしまって、そのまま帰ってこないみたいなことっていうのは、まさに本作で書かれている怖さとすごく近いなと思って、リアルなホラーだと思いましたね。サイコロジカルは精神的なっていうような意味だと思いますけど、それぐらい本当にありそうな怖さ」だと語り、近藤監督も「多分それぞれが自分の人生の中で触れてきた何かにちょっと硬くしながら、その思い出とともに見ているような感じがあるんでしょうね」と分析。大森プロデューサーも「自分の記憶だったり、自分の中のノスタルジーだったり、自分の中で何かを失った経験みたいなものと妙に接続するというのが、この映画の魅力かもしれません。しかも全部35mmで撮られているので、質感とかが全部夢の中みたいなんですよね。それが結構この作品を特殊なものにしているところなのかなとも思いました」とも。

またホラー映画を手がける近藤監督は、本作のジェーン・シェーンブルン監督のアプローチについて「例えば『死霊館』シリーズのようになるべく詰め込んでいくホラー映画とは違って、考える時間を逆に長く取るというアプローチの仕方。余弱がすごくあるので、人によっては退屈と思われるぐらいの尺を割くのですが、その代わり色んな思いを想像したり、思い返したりするということを込みで鑑賞体験としている。アートですよね。観終わった後に誰かと感想を話したりしている時に真価を発揮するようなタイプの映画でもある。それを演出や物語構成としても意図的にやってるっていうことなのかなと思って、それは現代のイケてる作り手のやることとしてすごいなと思いました」とその手腕を絶賛していた。
『テレビの中に入りたい』
さらにラストは衝撃的な展開となる本作だが、大森プロデューサーは「やっぱりどこまでも行っても、『テレビの中に入りたい』は、取り返しのつかさに関する話でもあると思うので、それは人によって規模は違いますが、例えば人生である人と出会って、その人と一時期仲良くしたけど何かしらで取り返しがつかなくなって完全に離れ離れになったみたいな記憶っていうのは、多分誰しも一つぐらいはあるもので、その取り返しのつかなさっていうものがやっぱり身につまされるから、本作の最後は急にグッと自分の方に向かうというか、作中ずっとぼんやり自分のこととかも考える時間も与えられているような映画なので、それプラス最後のラストで急に自分ごととして引き寄せてしまうから『最終的にどうしようかな』みたいな気持ちになって、映画が終わるっていう効果があるのかな、とか思ったりしましたね」と語った。

さらに最後には、近藤監督が本作について「賛否いろいろあったりもするかもしれないし、なかなかすぐぱっと感想を言える作品ではないかもしれないんですけど、感想をいろいろ共有していく中で発見や気づきがある作品だと思います。一旦整理できてから、もう一回繰り返すことによって面白いタイプの作品。そういう形で、理解していったりしてほしいと思います。あとパンフレットがめちゃくちゃ出来が良かったので、ぜひご覧ください!」と呼びかけ、大森プロデューサーも「自分の中の記憶とすり合わせるように見ると、すごい作品だったのかなと思います。このようなトークショーがある上映ではなく、あのラストが終わってそのまま浸る時間があるバージョンも楽しいと思うので、ぜひ皆さん2回目以降も観ていただきたいです!」とメッセージをおくった。

SNSでは、上映を観た観客たちから「今年のベスト」「超絶大傑作」「ぶっ刺さって抜けない」「想像もつかない映画」「情緒ぐしゃぐしゃ」「やってくれたなA24」「一生に一本の特別な出会いを探しているなら絶対に観て」など、刺さって熱狂するファンが続出!”20年後に間違いなくカルトムービーになる”とライターたちも絶賛しており、都内では満席回もあり、さらに本作のA24公認オリジナルTシャツが売り切れるほどの人気を見せ、熱く盛り上がっている本作!

孤独なティーンエージャーがクラスメイトから深夜の謎めいたテレビ番組のことを聞き、番組の中の世界を現実よりリアルに感じ始める本作は、1990年代半ば、主人公が成長していく心揺さぶる不可思議な物語で、数十年にわたって不吉な予感が漂い、やがて限界へと達するーー。“本当の自分”を知りたい気持ちと、それを知ることの怖さとの狭間で身動きができないまま、時間だけが過ぎていく。
「本当の僕は、どこにいる?」 ピンク色に光る闇の中に、あなたも引き込まれるかもしれない――。
切なくも幻想的なメランコリック・スリラーA24最新作『テレビの中に入りたい』、ぜひ劇場でご覧ください!

第74回ベルリン国際映画祭パノラマ部門正式出品をはじめ数々の映画祭で上映されると「唯一無二の傑作」「変幻自在の不穏さ」「型破りな映画」「この作品を表すのに“リンチ的”という言葉を使いたい」と絶賛され、全米公開では熱狂する若者たちが続出。公開から1周年記念で新たなグッズが発売されるなど、続々と“中毒者”を生み出し続けているA24製作映画『テレビの中に入りたい』は、90年代のアメリカ郊外を舞台に自分のアイデンティティにもがく若者たちの“自分探し”メランコリック・スリラー。郊外での日々をただやり過ごしているティーンエージャーのオーウェンにとって、謎めいた深夜のテレビ番組「ピンク・オペーク」は生きづらい現実世界を忘れさせてくれる唯一の居場所だった。同じくこの番組に夢中になっていたマディとともに、二人は次第に番組の登場人物と自分たちを重ねるようになっていく―。閉塞した日常をやり過ごしながら、自分のアイデンティティにもがく若者たちの、切なく幻想的な青春メランコリック・スリラーが魅惑の映像世界と共に展開する。A24と俳優エマ・ストーンが設立した映画制作会社フルーツ・ツリーが共同製作を務める多様な魅力と美点を兼ね備えた本作は、2024年サンダンス映画祭のミッドナイト部門でプレミア上映されて以降、第74回ベルリン国際映画祭パノラマ部門正式出品、第40回インディペンデント・スピリット賞では作品賞を含む主要5部門にノミネートされるなど批評家たちを虜にし、全米では2024年5月3日、4館での限定公開から始まると瞬く間に評判を呼び、5月17日には469館に拡大。エマ・ストーンが惚れ込んだ注目の新進気鋭ジェーン・シェーンブルン監督による特異な吸引力に満ちた本作は、“中毒者続出“で世界中に熱狂的なファンを生み出している。

物語
毎週土曜日22時半。
謎めいた深夜のテレビ番組「ピンク・オペーク」は生きづらい現実世界を忘れさせてくれる唯一の居場所だった。ティーンエイジャーのオーウェンとマディはこの番組に夢中になり、次第に番組の登場人物と自分たちを重ねるようになっていく。
しかしある日マディは去り、オーウェンは一人残される。自分はいったい何者なのか?知りたい気持ちとそれを知ることの怖さとのはざまで、身動きができないまま、時間だけが過ぎていくー。

テレビの中に入りたい監督&脚本:ジェーン・シェーンブルン(『We’re All Going to the World’s Fair(原題)』)
キャスト:ジャスティス・スミス(『名探偵ピカチュウ』)、ジャック・ヘヴン(『ダウンサイズ』)、ヘレナ・ハワード、リンジー・ジョーダン(スネイルメイル) 共同製作:Fruit Tree(エマ・ストーン制作会社、『リアル・ペイン〜心の旅〜』)
尺:100 分  レーティング: PG12
配給:ハピネットファントム・スタジオ
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