公開記念舞台挨拶
日付:2025年7月25日(金)
場所:新宿ピカデリー
登壇:堤真一、山田裕貴、津波竜斗、平一紘監督
司会:川田広樹(ガレッジセール)
映画『木の上の軍隊』が、7月25日に全国215館で公開されました。東京・新宿ピカデリーでは公開初日を記念して舞台挨拶が行われ、主演の堤真一さん、山田裕貴、津波竜斗、そして平一紘監督が登壇。司会は出演者でもある川田広樹(ガレッジセール)が務めました。
本作は、作家・井上ひさしさんが生前に構想していた原案をもとに、こまつ座で舞台化された作品を映画化したものです。舞台は太平洋戦争末期の沖縄県伊江島。終戦を知らず、2年間にわたってガジュマルの木の上で生活を続けた日本兵たちの実話が描かれています。6月13日から沖縄県内で先行公開され、話題作を押さえて5週連続で興行ランキング1位を記録するなど、多くの注目を集めています。
物語の中で、宮崎から派遣された厳格な少尉・山下一雄を演じた堤は、「戦争の悲惨さを伝えると同時に、生き残ることの価値や、日常の尊さにも目を向けてほしい」と語り、本作が終戦から80年を迎えるこの夏に公開される意義を強調しました。また、「沖縄出身の監督やスタッフが多く、過去の傷と向き合いながらも前向きに進もうとする姿勢が作品に力を与えてくれた」と感謝の気持ちを述べました。

沖縄・伊江島出身の新兵、安慶名セイジュン役を演じた山田は、「戦争を知ることも大事ですが、この映画は、今を生きている人たちが『もう一度生きてみよう』と思えるような内容でもある」とコメント。「より良く生きるためには、食事や人との関わりの中にある小さな『ありがとう』を大切にしたい」と話していました。

また、共演した津波は、作中でセイジュンが夢を見るシーンについて、「山田さんの演技に感情が高まり、自然と涙があふれてしまった。監督からも『感情のままに演じていい』と言われた」と、印象的な撮影エピソードを振り返りました。

現在、沖縄の一部劇場では、観客が自由に感想を書いて貼ることができる“ガジュマルの木”のパネルが設置されており、これは山田のアイデアによるものだそうです。そのパネルには、セイジュンのモデルとなった佐次田秀順さんのひ孫が書いた「じいちゃん、かっこよかった」という言葉もあり、山田は「とてもうれしくて、SNSの固定投稿にしたほどです」と笑顔で語っていました。

この日の舞台挨拶では、出演者たちに向けて、実在のモデルとなったご遺族からのサプライズの手紙が届けられました。堤真一さんが演じた上官・山下一雄のモデルである山口静雄さんの三女・平春子さん、そして山田裕貴さんが演じた安慶名セイジュンのモデル・佐次田秀順さんの次男・満さんからのもので、それぞれの思いが丁寧に綴られていました。
平さんの手紙には、「堤さんが取材などで父のことに丁寧な配慮を込めて語ってくださるのが、何よりもうれしかったです」との言葉がありました。また佐次田さんは、「軍服姿の山田裕貴さんにお会いし、まるで父に会えたような気持ちになり、思わず抱きしめてしまいました」とつづっていました。
このメッセージを聞いた山田は感極まり、涙を見せる場面もありました。「『あなたがいるから、私はここにいる』と言っていただきました。伊江島という場所のことを最初は何も知らなかった自分が、もし自分だったらどう生きたのかと想像しながら向き合った」と語り、「戦争で誰かが悲しむ姿を見るのは本当に辛い」と心の内を明かしました。そして、「自分は元気を届けられる存在でありたい」と話し、手紙のサプライズに対して「これはちょっと反則ですね」と笑顔を見せながらも、目頭を押さえていました。
一方、堤は「僕は泣かないですよ」と笑いつつ、自身の父親も戦争を経験した世代であることに触れ、「父も“静雄”という名前だったんです。山口さんと同じで、不思議な縁を感じました」と、静かに語っていました。
堤が本作のプロモーション活動の中で特に印象に残っている出来事のひとつが、山田がパーソナリティを務めるラジオ番組「山田裕貴のオールナイトニッポン」への出演だったそうです。
この特別放送は、7月28日深夜1時から3時まで放送予定で、山田は「ぜひ多くの方に聴いてほしいです。堤さんの言葉にとても感動しました。まるで堤さんがメインパーソナリティで、僕がゲストのように感じたほどです」と語り、番組への思いを込めて紹介。「映画のテーマとも深く重なっていて、すべての“いまを生きる人”に届いてほしい内容です」と、強く呼びかけていました。

【原作:「木の上の軍隊」(株式会社こまつ座・原案井上ひさし】
作家・井上ひさしが生前やりたい事として記していたオキナワを舞台にした物語。タイトルは「木の上の軍隊」。
井上が遺した1枚のメモを基に、井上ひさし没後、こまつ座&ホリプロ公演として2013年、藤原竜也、山西惇、片平なぎさを迎え初演された。その後、「父と暮せば」「母と暮せば」と並ぶこまつ座「戦後“命”の三部作」位置づけられ、16年、19年にはこまつ座公演として山西惇、松下洸平、普天間かおりが出演し、再演、再々演され、19年には沖縄でも上演。世界からも注目され様々な国から上演依頼がある作品である。2023年6月より韓国公演がスタートし8月の終演までソールドアウトの人気を博した。
出演:堤 真一 山田裕貴
津波竜斗 玉代㔟圭司 尚玄 岸本尚泰 城間やよい 川田広樹(ガレッジセール)/山西 惇
監督・脚本:平 一紘
原作:「木の上の軍隊」(株式会社こまつ座・原案井上ひさし)
主題歌:Anly「ニヌファブシ」
企画:横澤匡広 プロデューサー:横澤匡広 小西啓介 井上麻矢 大城賢吾
企画製作プロダクション:エコーズ 企画協力:こまつ座 制作プロダクション:キリシマ一九四五 PROJECT9
後援:沖縄県 特別協力:伊江村
製作幹事・配給:ハピネットファントム・スタジオ
©️2025「木の上の軍隊」製作委員会