7月25日に初長編劇映画『私たちが光と想うすべて』が公開されるパヤル・カパーリヤー監督の初長編ドキュメンタリー『何も知らない夜』が、8月8日に公開されることが決定した。
『何も知らない夜』は、ムンバイ生まれのカパーリヤー監督が2021年に手がけた初の長編ドキュメンタリー映画。監督がインド映画テレビ技術研究所の学生であった自身の体験を元に映画化した。第74回カンヌ国際映画祭監督週間に選出され、ベスト・ドキュメンタリー賞に当たるゴールデンアイ賞を受賞。さらに2023年の山形国際ドキュメンタリー映画祭インターナショナル・コンペティション部門でロバート&フランシス・フラハティ賞(大賞)を受賞した。
映画大学の寮から学生L(エル)の恋文が入った小箱が発見され、Lの手紙が語るカースト制度によって阻まれた恋人たちの苦難を背景に、2016年に実際に起こった政府への抗議運動、極右政党とヒンドゥー至上主義者による学生運動の弾圧事件の真実が描き出される。フィクションとドキュメンタリーを自由に行き来する監督が、叶わぬ愛の物語と記録映像を通じて、インドの社会の問題を炙り出している。
また、『私たちが光と想うすべて』の本編映像とメイキングショットも公開された。
カパーリヤー監督の初長編劇映画となる『私たちが光と想うすべて』では、世代や境遇、性格も異なる3人の女性がさまざまな葛藤を抱えながら生き、友情を築いていく姿が描かれている。
インド映画として30年ぶりに第77回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門入りを果たした本作。審査員長を務めたグレタ・ガーウィグや日本から審査員として参加した是枝裕和も本作を絶賛し、インド映画史上初のグランプリにあたるパルムドールを受賞。さらに、100を超える世界の映画祭や映画賞にノミネートされ、25以上の賞を獲得している。また、オバマ元大統領の2024年のベスト10にも選ばれ、70カ国以上での上映が決定している。
公開された本編映像では、秘密の恋を続けるアヌとシアーズの逢瀬が捉えられている。インドで今もなお根強く残るしがらみに縛られ、恋人であることを公にはできない2人は、ある海辺の街の洞窟で密会。そこで、かつて洞窟を訪れた誰かが岩壁に書いた“自由”という文字を見つけ、これからの人生についての不安を囁くように吐露する。“自由に生きたい”という切実な願いと、社会や家族、伝統がもたらす重圧。そのはざまで揺れる2人の繊細な感情が描かれている。
「インドの西海岸は季節の移り変わりがあまりなく、あるのはモンスーンとそうでない季節だけ。この異なる二つの季節感を出したかった」とカパーリヤー監督が語るように、前半がムンバイ、後半はラトナギリとそれぞれ舞台を変えて撮影された本作。メイキングカットでは、時には屋外で自らの肩に大型のカメラを担ぎフレームチェックをする監督の姿などが切り取られている。


『私たちが光と想うすべて』
7月25日(金)Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかで全国ロードショー
監督・脚本:パヤル・カパーリヤー
出演:カニ・クスルティ、ディヴィヤ・プラバ、チャヤ・カダム
配給:セテラ・インターナショナル
原題:All We imagine as Light/2024年/フランス、インド、オランダ、ルクセンブルク/マラヤーラム語、ヒンディー語/118分/1.66:1/字幕:藤井美佳/ PG12
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『何も知らない夜』
8月8日(金)Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下にてロードショー
監督・脚本:パヤル・カパーリヤー
撮影・編集:ラナビル・ダス
音楽:ドリティマン・ダス(Topshe)
声の朗読:ブーミシュタ・ダス
原題:A Night of Knowing Nothing/2021年/フランス、インド/ヒンディー語、ベンガル語/103分/1.33:1/パートカラー/字幕:藤井美佳/配給:セテラ・インターナショナル
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