完成報告会見
日付:5月5日(月・祝)
場所:丸の内TOEI
登壇:妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝、大友啓史監督
『宝島』の完成報告会見が5月5日(月・祝)に都内で行われ、妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝、大友啓史監督が登壇した。
戦後の沖縄を舞台に、これまで語られてこなかった歴史の一端を描いた真藤順丈さんの小説『宝島』が、東映とソニー・ピクチャーズの共同配給により実写映画化されます。本作は、第160回直木賞、第9回山田風太郎賞、第5回沖縄書店大賞を受賞し、高い評価を受けた話題作です。
メガホンを取るのは、幅広いジャンルで常に新たな表現に挑戦し続けている大友啓史監督。主演には妻夫木聡を迎え、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太といった実力派俳優が顔をそろえています。
作品では、アメリカ統治下という特殊な時代背景のもと、激動の時代を力強く生き抜いた若者たちの姿が描かれます。彼らの情熱や葛藤を通して、沖縄の歴史とそこに生きた人々の思いが丁寧に映し出される、スケールの大きな作品となっています。
妻夫木聡は、2度の撮影延期を経て作品が完成したことについて「今日という日を迎えられて感慨深いです」と述べました。映画を鑑賞した感想として、「圧倒的な生命力を感じました。鑑賞後には、生きていかなければという思いが心の底から湧き上がってきました」と語り、「これまで死は終わりだと思っていたけれど、死があるからこそ生があり、何かが受け継がれていく。そうしたつながりに支えられて私たちは生きているのだと感じました。だからこそ、一日一日を大切に生きていくことが必要だと思います」と、作品を通して感じた思いを丁寧に伝えました。

また、広瀬すずは鑑賞時の印象を「とても良い意味で疲れました」と振り返り、「血が騒ぐようなシーンが多く、自分が出演していない場面もたくさんあって、『これは大変だっただろうな』と撮影の苦労が思い起こされました。改めて、撮影の日々がとても濃密だったと感じました」と語っていました。

窪田正孝は、「皆が全力で生きていて、現代の死に対する価値観とは大きく異なっているように感じました。彼らにとっての“死”は、今とは違う感覚だったのではないかと思います」と語りました。また、「次の瞬間に命を失うかもしれないという状況の中で、死と隣り合わせであるからこそ、今を全力で生きる若者たちの姿から、時を越えてもなお伝わってくる“生きた魂”のようなものを感じました」と、作品に込められたエネルギーについて印象を語りました。

このようなキャストの感想を受けて、大友啓史監督は原作を読んだ際の印象について「生きる力強さを感じました」と振り返りました。そして、「映像化にあたっては、そのエネルギーをどう表現していくかが課題でした。人生にはさまざまな出来事がある中で、それでも生き続けなければならない。登場人物一人ひとりがその覚悟を持ち、共有することで大きな力となり、それが歴史となって現在へとつながっているのだと感じました」と語り、「映画を通じて、少しでも彼らの人生に触れてもらえたら」と作品に込めた想いを丁寧に伝えていました。

舞台となったコザについて、妻夫木聡は「以前出演した映画『涙そうそう』も同じくコザが舞台であり、不思議なご縁を感じました」と述べ、「原作を読んだときに、もしかすると自分はこの物語に導かれたのかもしれない、運命のようなものを感じました」と振り返りました。そして、「今なお続く課題や現地の方々の言葉にならない思いを、芝居を通して丁寧に表現していく責任を感じました」と語りました。
広瀬すずは、「撮影期間中は日々が非常に濃密で、さまざまな感情と向き合うことができました」とし、「お芝居に対する新たな感覚、なかなか得難いようなエネルギーをこの現場で体験できた」と振り返っています。
さらに、窪田正孝は「役者として、人の価値観や命の重みについて深く考える機会となりました」と語り、「当時の状況では、暴力を望んでいたわけではなく、それしか選択肢がなかったという背景があった。そうした時代を生き抜くということは、そういうことだったのだと実感しました」と述べました。加えて「役者という立場を通して、人間がその生き様を通じてどこまで深く表現し、生きる力を示せるのかを、作品を通じて感じることができました」と思いを語りました。
今回のイベントでは、俳優の妻夫木聡が本作の宣伝アンバサダーに就任することが発表されました。就任にあたり、妻夫木は「撮影当初から、完成した際には自ら観客のもとへ足を運び、直接伝えたいという気持ちが強くありました。単なる宣伝活動というよりも、自分にとってこの映画はそれを超えた存在です」と語り、作品に込める思いを明かしました。
本作については、「これは自分たちだけの物語ではなく、観てくださる皆さんそれぞれの物語でもあると思っています。受け継がれてきた思いを、次の世代へしっかりとつないでいきたい」と述べ、観客と直接向き合うことの重要性を強調しました。
また、「自分が出演した作品について、監督とともに各地を訪れ、観客の生の声を聞く機会は非常に貴重です」としたうえで、「全国各地でこの映画を待っていてくださる方々に、作品を直接届けたいと思っています」と呼びかけました。
さらに、「映画はひとつのビジネスでもありますが、ただ“良かった”で終わってしまうのではなく、心に残るものであってほしい。この作品には、その想像を超える力があると信じています」と話し、「映画の持つ力を信じています。全国を回るキャンペーンを通して、少しでも多くの方に作品の魅力を届けたい」と意欲を見せました。
「観る方それぞれに感じ方は異なるかもしれませんが、“前を向いて生きていこう”と思えるような、そんな力を持った作品になっていると思います」と、映画の持つメッセージ性についても語りました。
物語
1952年、沖縄がアメリカだった時代。米軍基地から奪った物資を住民らに分け与える“戦果アギヤー”と呼ばれる若者たちがいた。いつか「でっかい戦果」を上げることを夢見る幼馴染のグスク(妻夫木聡)、ヤマコ(広瀬すず)、レイ(窪田正孝)の3人。そして、彼らの英雄的存在であり、リーダーとしてみんなを引っ張っていたのが、一番年上のオン(永山瑛太)だった。全てを懸けて臨んだある襲撃の夜、オンは“予定外の戦果”を手に入れ、突然消息を絶つ…。残された3人は、「オンが目指した本物の英雄」を心に秘め、やがてグスクは刑事に、ヤマコは教師に、そしてレイはヤクザになり、オンの影を追いながらそれぞれの道を歩み始める。しかし、アメリカに支配され、本土からも見捨てられた環境では何も思い通りにならない現実に、やり場のない怒りを募らせ、ある事件をきっかけに抑えていた感情が爆発する。
やがて、オンが基地から持ち出した“何か”を追い、米軍も動き出すー。
消えた英雄が手にした“予定外の戦果”とは何だったのか?そして、20年の歳月を経て明かされる衝撃の真実とはー。

出演:妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太
監督:大友啓史
原作:真藤順丈『宝島』(講談社文庫)
配給:東映/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
©真藤順丈/講談社 ©2025「宝島」製作委員会
公式サイト&SNS
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