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映画『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』「世にも<奇妙>な家庭訪問」編_本編映像

2003年、小学校教諭・薮下誠一(綾野剛)は、保護者・氷室律子(柴咲コウ)に児童・氷室拓翔への体罰で告発された。体罰とはものの言いようで、その内容は聞くに耐えない虐めだった。これを嗅ぎつけた週刊春報の記者・鳴海三千彦(亀梨和也)が“実名報道”に踏み切る。過激な言葉で飾られた記事は、瞬く間に世の中を震撼させ、薮下はマスコミの標的となった。誹謗中傷、裏切り、停職、壊れていく日常。次から次へと底なしの絶望が薮下をすり潰していく。

一方、律子を擁護する声は多く、“550 人もの大弁護団”が結成され、前代未聞の民事訴訟へと発展。誰もが律子側の勝利を切望し、確信していたのだが、法廷で薮下の口から語られたのは――。「すべて事実無根の“でっちあげ”」だという完全否認だった。これは真実に基づく、真実を疑う物語。

綾野 「二人の世界に入っている」、三池崇史監督 「二人とも狂ってる(褒)」
どちらの言い分を信じる?【世にも<奇妙>な家庭訪問】供述別比較

それぞれの立場からの供述を基にした回想を見比べる異例の本編映像をこのたび解禁する。

映像は左右に二分割された画面から始まり、
土砂降りのなか傘も持たずに氷室家のある高級マンションのエントランスへと歩いていく薮下の後ろ姿が映し出されている。
スタートの時点では左右でわずかな差しか見られない何気ないシーンだが、
その後に訪れる律子目線の【氷室律子の供述】と薮下目線の【薮下誠一の供述】それぞれで状況は一変する。

【氷室律子の供述】。
薮下を殺人教師だと告発する側の立場となる律子の目に映る薮下の振る舞いは横柄で傲慢。
律子に迎えられ、扉が開くやいなや「正直気分悪いです」と、夜分の実施となった家庭訪問に不満を露わにする薮下。
びしょびしょに濡れた靴下にもかかわらず、勧められたスリッパを履くことなくそのまま部屋に上がり込み、
穏やかな口調ながらも児童である拓翔への憎悪すら感じさせる言動や、
突然机を叩き律子を困惑させるその様はまさに危険人物そのもの

映像はその後、全く同じシチュエーションで薮下目線に移りかわる。

【薮下誠一の供述】。
一転して雨に濡れた薮下を無表情で迎え入れる律子と恐縮しきりの薮下。
告発された薮下の目に映る律子の振る舞いは一般家庭のそれとはかけ離れた奇妙な雰囲気。
じっと薮下を見つめたり、冷蔵庫を激しく閉めたりする瞬間など端々に圧の強さが垣間見える律子は、
自身も小学生まで過ごしたというアメリカの教育について延々と語り続ける。
「“アー、ブゥ、クゥッ、ドゥ(※ABCDの発音)”って言い始めた時、凍るんですよこのシーン。全体の空気が一瞬で凍るんです」
と綾野が撮影時を振り返るとおり、能面のような表情で「“アー、ブゥ、クゥッ、ドゥ”」と言い出した律子に合わせ、
「“アー、ブゥ、クゥッ、ドゥ”」と繰り返す薮下はすでに何かに支配されたようでもある。
どこか薮下を試すような律子は冷たく奇妙な人物に映っている

あまりにも強烈でヒリヒリするような演技を見せた綾野と柴咲は、
三池崇史監督から撮影直後に「二人とも狂ってる」という最大級の絶賛を得た。
告発するものとされるものそれぞれの供述を基にした、あまりにも<奇妙>な家庭訪問。
あなたならどちらを信じるだろうか。

映画『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』作品情報

公開日 2025年6月27日公開予定
キャスト 監督:三池崇史
原作:福田ますみ
出演:綾野剛 柴咲コウ 亀梨和也 大倉孝二 小澤征悦 高嶋政宏 迫田孝也 安藤玉恵 美村里江 峯村リエ 東野絢香 飯田基祐 三浦綺羅 木村文乃 光石研 北村一輝 小林薫
配給 東映
制作国 日本(2025)
年齢制限 PG-12
上映時間 129分
公式サイト https://www.detchiagemovie.jp/

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