ロングランヒット御礼舞台挨拶
日時:2025年8月23日(土)
場所:丸の内ピカデリー1
登壇:山田裕貴、平一紘監督
1945年、沖縄県伊江島で激しい攻防戦が展開される中、二人の日本兵が木の上に身を潜め、終戦を知らずに2年もの間生き延びた――そんな衝撃の実話から着想を得た作家・井上ひさしが原案を遺し、こまつ座にて上演された舞台を映画化した『木の上の軍隊』が、全国絶賛公開中です。
宮崎から派兵された厳格な少尉を演じるのは、確かな演技力で日本の映画界を牽引してきた名優・堤 真一。沖縄出身の新兵に抜擢されたのは、数々の話題作で存在感を示す山田裕貴。ダブル主演を務める堤と山田は初の共演ながら、阿吽の呼吸で極限状態の兵士たちを、繊細かつ力強く、そして人間らしい可笑しみをもって表現。監督と脚本を手掛けるのは、『ミラクルシティコザ』のスマッシュヒットが記憶に新しい沖縄出身の新進気鋭・平 一紘。全編沖縄ロケ、伊江島では実際に生い茂るガジュマルの木の上で撮影が敢行されました。
今夜、映画『木の上の軍隊』のロングランヒット御礼舞台挨拶を東京・有楽町にて実施いたしました。
主演の山田裕貴に加え、平一紘監督が上京して登壇しました。本編上映後ということで、満席の観客とのティーチインを実施しました!
満員御礼で迎えたこの日、沖縄出身の新兵・安慶名セイジュンを熱演した山田は「この劇場でロングランヒット御礼舞台挨拶ができるということは、これからも長く本作を上映してくれるということを期待しています」と茶目っ気たっぷりに挨拶。第107回全国高等学校野球選手権大会決勝で沖縄尚学が優勝したことに触れて「きていますね、沖縄が!今日も撮影の合間に自分の車の中にあるテレビでチェックしていました」と祝福すると、平監督は与那嶺幸一役の津波竜斗が同校野球部OBであることに触れて「彼はここぞとばかりにSNSに野球部時代のユニフォームと共に高校時代の写真をUPしています」と笑わせた。
平監督は公開後の反響について「SNSで感想が上がると、最短2分で『いいね!』を押すので、ちょっと怖がられています(笑)。もし、されなかったらDMをください!」と気合十分。山田は「今日ようやく母親と妹が観てくれて、めちゃくちゃ泣いたと言っていました。母親的には『今まで一番の演技だったのではないか』という感想をもらいました」と明かし「いつも最新で最高を叩き出す男です!」と照れを隠しつつ胸を張った。
観客とのQ&Aでは、セイジュンが海を見つめる場面での心境についての質問が。これに山田は「こんなにも感情を作るのが難しいのかと思うくらいで、本番前になるべく人を遠ざけて一人で森の奥に行ってみても出てこなかった。そして海を見た時に思ったのは、海を見れた嬉しさだけではなく、ここは戦場になってしまったのかという悲しみ。どんな顔をしていいのかわからなかったけれど、でもそれが正しいのかもしれないと思った。わからないまま、ただただ海を見ていました」と述べた。
印象的な場面について聞かれると、平監督と山田は「安慶名セイジュンと与那嶺幸一が幻想の中で会話をするシーン」を挙げた。平監督は「与那嶺幸一と対峙する裕貴さんの喋り方と気持ちの出し方が自分の予想と違かったけれど、それで行きましょうと。脚本上ではそこまでエモーショナルなシーンではありませんでした」と秘話披露。これに山田も「本来は目に涙を浮かべるようなシーンではなかった。ある意味、次のシーンへの橋渡し的な場面だったけれど、津波君の顔を見たら…人はこういうところでグッとくるんだと思った。会いたかった奴に会えた嬉しさ、それがたとえ夢や幻想の中だとしても嬉しかった。だから涙が溢れたんだと思う」と感情が抑えきれなかったと回想した。
また、終戦を迎えたことを知った際のセイジュンの受け止め方について聞かれると「この作品の中で僕が想像する彼の心境としては、負けて終わろうがどうだっていい。とにかく故郷に帰ることが出来ればそれでいい。とにかく戦争は嫌だ。ただそれだけだと僕は理解しました」と解説した。
大勢の観客が活発に挙手したQ&Aもあっと言う間に終了の時刻に。最後に平監督は「本作は沖縄先行公開の6月13日から長い時間をかけて皆さんに届ける毎日を過ごしていました。それはこれからも変わらずに過ごしていくと思います。映画の上映が終わったとしても、何かの節目でお目にかかることがあるような作品になったと思います。沢山の人から『大切な映画になった』という声をいただくことが出来てとても嬉しかったです。皆さんの大切な人と共に、また映画館に足を運んでいただけたら嬉しいです」と呼び掛けた。
主演の山田はこの度のロングランヒットに触れて「この映画をちゃんと受け取ろうとしてくれる人たちが多いこと、本作のメッセージを誰かに伝えようとか、もう一度観てみようと思ってくれることが、戦争に目を向けることと同義だと僕は思っているので、そこが一番嬉しい。これからもヒット、ヒット、ヒットではなくて心にホームラン!」と笑わせながら「ヒットしたから嬉しいのではなくて、皆さんが映画から何かを受け取ろうとしてくれる気持ちと、それを沢山の人が受け取ってくれていることが嬉しい。これから残す作品もヒットすることが嬉しいのではなくて、作品のメッセージを受け取ろうとしてくれることが幸せだと感じる人間であり俳優であることを、ここに宣言いたします!」と照れながらも力強く宣言していた。
物語
太平洋戦争末期、戦況が悪化の一途を辿る1945年。飛行場の占領を狙い、沖縄・伊江島に米軍が侵攻。激しい攻防戦の末に、島は壊滅的な状況に陥っていた。
宮崎から派兵された少尉・山下一雄(堤 真一)と沖縄出身の新兵・安慶名セイジュン(山田裕貴)は、敵の銃撃に追い詰められ、大きなガジュマルの木の上に身を潜める。仲間の死体は増え続け、圧倒的な戦力の差を目の当たりにした山下は、援軍が来るまでその場で待機することに。戦闘経験が豊富で国家を背負う厳格な上官・山下と、島から出たことがなくどこか呑気な新兵・安慶名は、話が嚙み合わないながらも、二人きりでじっと恐怖と飢えに耐え忍んでいた。やがて戦争は日本の敗戦をもって終結するが、そのことを知る術もない二人の“孤独な戦争”は続いていく。
極限の樹上生活の中で、彼らが必死に戦い続けたものとは――。
【原作:「木の上の軍隊」(株式会社こまつ座・原案井上ひさし】
作家・井上ひさしが生前やりたい事として記していたオキナワを舞台にした物語。タイトルは「木の上の軍隊」。
井上が遺した1枚のメモを基に、井上ひさし没後、こまつ座&ホリプロ公演として2013年、藤原竜也、山西惇、片平なぎさを迎え初演された。その後、「父と暮せば」「母と暮せば」と並ぶこまつ座「戦後“命”の三部作」位置づけられ、16年、19年にはこまつ座公演として山西惇、松下洸平、普天間かおりが出演し、再演、再々演され、19年には沖縄でも上演。世界からも注目され様々な国から上演依頼がある作品である。2023年6月より韓国公演がスタートし8月の終演までソールドアウトの人気を博した。
出演:堤 真一 山田裕貴
津波竜斗 玉代㔟圭司 尚玄 岸本尚泰 城間やよい 川田広樹(ガレッジセール)/山西 惇
監督・脚本:平 一紘
原作:「木の上の軍隊」(株式会社こまつ座・原案井上ひさし)
主題歌:Anly「ニヌファブシ」
企画:横澤匡広 プロデューサー:横澤匡広 小西啓介 井上麻矢 大城賢吾
企画製作プロダクション:エコーズ 企画協力:こまつ座 制作プロダクション:キリシマ一九四五 PROJECT9
後援:沖縄県 特別協力:伊江村
製作幹事・配給:ハピネットファントム・スタジオ
©️2025「木の上の軍隊」製作委員会
公式サイト:@kinouenoguntai/
公式X(旧Twitter):@kinoue_guntai