脚本家の宮藤官九郎が10日、都内で行われた第33回橋田賞授賞式に出席。過去にあった橋田壽賀子さんとの思い出を語った。
橋田賞は、脚本家・故橋田壽賀子さんが理事を務めた橋田文化財団によって1993年に設立された賞です。視聴者の心に響き、記憶に残る質の高い番組がより多く制作されること、そして志ある放送人が次々と育っていくことを願い、贈られています。
今回の橋田賞は、脚本家の宮藤官九郎さんに贈られました。受賞理由としては「日本のドラマ・映画界において独自の視点と表現で数々の作品を手がけ、映像文化に新たな領域を切り開いてきたこと」が挙げられています。特にTBS系ドラマ『不適切にもほどがある!』やフジテレビ系ドラマ『新宿野戦病院』では、ユーモアとリアリズムを巧みに織り交ぜ、現代社会を鋭く描き出した点が高く評価されました。
宮藤さんは受賞について「本当にうれしいです」と笑顔を見せつつ、「これまでさまざまな賞をいただいてきましたが、橋田賞は自分とはご縁がないと思っていました」と意外な心境を語りました。その理由として、約20年前に橋田壽賀子さんとあるパーティーで出会った際のエピソードを披露。当時、自身が手がけていた『タイガー&ドラゴン』について話したところ、橋田さんから「老兵は去り行くのみですね」と声をかけられたことが印象に残っていたと振り返りました。
緊張していた宮藤さんは、思わず「はい、そうですね」と返してしまったと笑いながら話し、「そのことがずっと記憶にあったので、橋田賞だけは縁がないと思っていたんです。でも、20年経ってこうして受賞できたことが本当にうれしいです」と喜びを語り、会場には温かい笑いが広がっていました。
■橋田賞
・連続テレビ小説『虎に翼』(NHK)
・『カンブリア宮殿』(テレビ東京)
・宮藤官九郎
・阿部サダヲ
・伊藤沙莉
・池上彰
■橋田賞新人賞
・河合優実
・奈緒
・松本若菜
■野村昭子賞
・草村礼子
■橋田壽賀子生誕100年記念特別賞
・連続テレビ小説(NHK)
・石井ふく子
■橋田賞新人脚本賞
一時間ドラマ部門
佳作
・「シニアの居場所」松山富江
・「遠くから来た客」今泉紗弥
短編部門
入選作
・「おまけ」日比谷祐希
・「よいおとしを」青山ユキ
・「素直になれなくて」不動里美